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「お気に入りだけモノクロで悲しい?」――プロがモノクロを選ぶ理由

SNSの“モヤモヤ投稿”

「七五三の撮影をプロにお願いしたら、私の一番お気に入りだけがモノクロで納品されて悲しい。」この一般の方の投稿を見て、少しドキッとしました。——なぜなら、私もモノクロにすることが少なからず有るからです。

幸い、これまでクレームはありませんが、フォトグラファーとして見て見ぬ振りは出来ないテーマです。



私がモノクロを選ぶとき——“色を捨てる”のではなく“語りを磨く”

私がカラーではなくモノクロを選ぶ理由は、伝えたい意図が明確にあるときです。人は派手な色彩に目を奪われます。美しい夕陽、燃えるような紅葉——背景の色が主役を喰ってしまうことがあります。主題が人物である以上、写真に語らせたい「物語(ストーリーテリング)」を邪魔する色は、あえて取り除く判断をします。


モノクロは「情報量を減らす」処理ではなく、“主題への視線誘導を最大化する編集” だと考えています。

誤解しやすいポイント:モノクロは“彩度ゼロ”ではない

モノクロは「彩度を0にしただけ」ではありません。元の色情報(チャンネル)ごとに濃度をコントロールし、立体感と階調(コントラスト)の設計を行い、視線が主題へスッと流れるように整えます。Photoshopでいえば、単純に彩度をゼロにしただけではありません。

かつてはチャンネルミキサー/トーンカーブ/部分的なコントラストなどを意図に沿って組み合わせました。現在はチャンネルミキサーはモノクロ・フィルターに置き換わりましたが、簡単そうで実は難しい。仕上がりの説得力は、理論と手間そして、モノクロの理解度に比例します。



カラーが欲しかった気持ち:なぜ渡さないの?への違和感

今回の問題の核心は二つ。

  1. カラー版がほしかったのに、もらえなかった。

  2. モノクロの仕上がりに感動できなかった。

正直、お客様がカラーを望むのにカラーを渡さない理由がわかりません。カラー版も一緒に出していれば、SNSで騒動になることも無かったハズです。 一方で、なぜモノクロを選んだのかという点にも私は興味があります。モノクロでも感動させられていれば、クレームにはならなかったと思います。その選択は正しかったのか? 処理は適切だったのか? ——プロ側の自問は尽きません。

プロは永遠に“未完成”

私たちフォトグラファーに安住の地はありません。常に成長を求めチャレンジし続け無ければ、あっという間に感性は錆び、表現者としての職を追われます。マスターやフェローと言えども同じです。名画を残した巨匠たちも、人生の最後まで実験と失敗を積み重ね、歴史を築きました。 駆け出しの人には酷に聞こえるかもしれませんが、それが表現者の道です。どうぞご勘弁を。



今夜の修行メニュー

そんなわけで今夜も、グランツーリスモでeモータースポーツの道を極めるための修行です。w


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