コンペと友人
- 故島永幸
- 6月20日
- 読了時間: 3分
友達って、なんでしょうか?
嬉しいとき。
悲しいとき。
苦しいとき。
そんな時に、そっと寄り添ってくれる人。それが「友達」だと私は思います。 自分が困ったときだけ人を頼り、相手が困っているときは知らん顔。そんな人は、本当の友達とは呼べません。
SNSが一般化し、「SNS上の友達」はたくさんいます。けれどそれは、言葉の上だけの関係にすぎません。ただ、それでもSNSから“本物の友人”に発展する出会いも、稀にあります。
私がとても好きな友人のひとりは、オーストラリアに住んでいます。彼の作品と才能、そしてユーモアあふれる人柄に惹かれて、私は思い切って友達申請を送りました。
せっかちな私にとって、彼の素早いリアクションは気が合います。そして何より、彼のメッセージはいつもユーモアに満ちていて、私は彼のことを心から尊敬しています。フォトグラファーとしても、人としても。
そんな彼から、先日メッセージが届きました。「オーストラリアのコンペで審査部長をしている」とのこと。そして、「ぜひ参加してほしい」と、声をかけてくれたのです。
私は現在、ほとんどのフォトコンペへの応募をやめています。理由は以前にも書きましたが、一定の目的を果たせたからです。
その目的のひとつが、**「海外で活躍する日本人フォトグラファーを増やすこと」**でした。私自身が先陣を切ることで、日本人の認知度を高め、そして海外に目を向ける人を少しでも増やしたい——それが、日本の写真文化をより豊かなものにする。そんな思いがありました。
私は現在、5カ国の団体でマスター称号を取得し、イギリスのBIPPでは2つのフェロー資格を得ました。審査員としても、海外4つの団体で活動しています。
かつて海外のコンペで、日本人の存在はほとんど知られていませんでした。ですが今では、世界中のフォトグラファーが日本人を認め、多くの日本人も海外のコンペに挑戦するようになっています。
日本の写真文化を変えるための小さな波紋は、確実に広がってきたと感じています。
私はその間、自分の“本当に作りたい作品創作”を一旦封印し、まずはポートレートの世界で結果を出すことに専念しました。
ただ、すべてのコンペをやめたわけではありません。アメリカの「ICON(旧WPPI)」だけは、出し続けています。
なぜなら、そこでは審査員も応募するためレベルが高く、世界中の仲間たちと再会できる場でもあるからです。
そして今回、オーストラリアのコンペ " app " にも応募することにしました。その理由は、「ライブジャッジ」と「チャレンジシステム」が残っているからです。
5人の審査員がどのように作品を見て、どう読み取るのか。そして「チャレンジ」があることで、作品に込めた深い意味やメッセージが引き出されることがあります。
私は時に、作品に強い想いや物語を込めます。でも、それが見落とされてしまうことも少なくありません。「チャレンジ」があることで、そうした“見えない深部”まで掘り起こしてもらえる可能性がありmす。——それがこのコンペの最大の魅力だと思いました。
事実、ICON(WPPI)の審査システムは、オーストラリアの仕組みをもとに作られたとも言われています。
コンペは、思っている以上に経費がかかります。審査システムの開発、維持、応募作品のチェック、ライブジャッジの開催に審査員を一箇所に集める費用、場所、配信機材——
かつてWPPIがコンペを一時中断したときのことを思い出します。良いものを残すには、参加者としての協力も必要です。
そんな想いが、彼からの誘いと重なり、今回応募を決めました。
このコンペは、「コンペを学びの場」と考える方にこそ、ぜひ参加してほしいと思っています。
締切までの時間は残りわずか(6/22締め切り)ですが、もしこの記事を読んで、少しでも興味を持っていただけたら——応募を検討していただけると、嬉しく思います。
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