プリントが写真を上手くする
- 故島永幸
- 6月10日
- 読了時間: 3分
カラーマネジメント(CMS)でモニター、そしてモニター調整の重要性を話した後は、印刷物を評価するための光源についてお話しします(色評価用蛍光灯やLEDなど)。
さらに、プリントの予備知識として必要な「マッチング方法」(知覚的/相対的)の話も欠かせません。
これらの話は、どんなセミナーであっても必ず入れるようにしています。
……でも間違いなく、参加される方には面白くない話なんですよね(笑)。
眠くなっちゃう人が出やすいのが、このセクション。
撮影方法やライティング、ちょっと珍しいレタッチの話になると皆さん興味津々で聞いてくださるのですが、CMSの話に入った途端に……ウトウト。まあ、箸休めってことでしょうか?
でも、これができていないと、自分の写真の色やコントラストを正しく見ることも、評価することもできません。私は「一番大切なこと」だと思っているのですが、業界内でも真剣に取り組んでいる人は、実はごく少数なんです。
そんな中、今回は本当にありがたいことに、誰ひとり寝ることなく、みなさん一生懸命聞いてくださいました。
交通の便がいいとは言えない米子(米子のみなさん!決して悪意はありませ!)に、7時間かけて愛媛から来てくださった方。距離で言えば一番遠い埼玉からの方。三重や姫路からもご参加いただきました。
皆さん、本当に気合いの入り方が違います。
「真剣な目をした人は、目の色が違う」と言いますが、まさにそんな感じでした。(でも、なんで“色”が違うって言うんでしょうね?知らんけど。)

そして、前日に私が撮影したデータを、現像→レタッチ→プリントと、一連の流れをその場でご覧いただきました。
みなさんが持参されたデータもプリントし、必要と思われるデータには私が手を加えて、プリントに適した状態に調整させていただきました。
今回ILFORDとAwagamiから2種ずつ、4種類のペーパーを提供いただきました。それぞれに特徴があり、ファインアートプリントの魅力を存分に感じていただけたと思います。
ご自身のプリントを見て、ちょっと感動しておられる様子も見受けられました。
最近は、データを納品して終わりだったり、アルバムメーカーやラボに送って終了、という方が少なくありません。
自分でプリントする人は非常に少ない。でも、紙を選び、プリントを見て、データを修正し、またプリントする——この繰り返しが写真を育ててくれるのです。
レオナルド・ダ・ヴィンチがモナ・リザを手放さず、生涯加筆・修正し続けたことで生まれた独特のタッチ【スフマート】。それに通じるものがあると思っています。
だから私は「写真が上手くなりたいなら、プリントは自分でやるべき」と思っています。これが私の持論です。
2日間のセミナーも、あっという間に終了。
終わってみると「時間が足りなかったな」「あれも伝えたかった、これも話したかった」と思うことばかりです。
私自身、まだまだ成長途中。気づけば、みなさんからたくさん学ばせていただくことばかり。
反省する間もなく、今度は次週のPHOTONEXTセミナーの準備に取りかからなければなりません。
4つのセミナー、それぞれ内容が一部かぶるところもありますが、全体としては話すことを変えていかなければなりません。
どのセミナーで何を話すのか、だんだんこんがらがってきて、資料作成の効率がまったく上がらない……これはもう歳のせいか?それとも元々の不器用さか?
はい、両方でございます (^^ゞ
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