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フォトグラファーという職業の未来


四日間の出張を終えて、帰ってきました。PHOTONEXT2025では、4本のセミナーに登壇し、主に「海外の写真作品はなぜ“絵のよう”に見えるのか?」というテーマについてお話ししました。その理由を文化背景からひも解きつつ、美しいプリントを得るためにどんなデータを作らなければならないのか。

言葉だけでなく実演を交えてお伝えしました。



サロン・メンバーの岸本さん撮影
サロン・メンバーの岸本さん撮影

海外と日本では「絵作り」のアプローチが大きく異なります。その背景には、文化的な価値観の違いがあることは否定できません。「文化が違うから仕方ない」と開き直っていてはいけません。 その姿勢こそが、日本で“写真”がアートとしての地位を確立できていない要因のひとつなのかもしれないのです。

そして今、写真は“実在しないデータ”としてのみ流通するという事態にまで発展しています。このままでは、写真文化は衰退の一途をたどるかもしれない――。

だからこそ、まずは海外の価値観を理解し、その土俵で戦ってみよう。そうして見えてきた「本質」を考察し、それを応用する。それが、私が海外コンペに挑戦し続けてきた理由です。



そこから得たものを伝えたい――そんな思いで、さまざまな活動を続けてきましたが、今回のセミナーで初めて“手応え”を感じました。というより、「このままでは、日本のフォトグラファーという職業が終わってしまう!」という、私の心の叫びが伝わったのかもしれません。


というのも、多くの人が“安売り競争”の末に、心も体もボロボロになっている現状があるからです。

セミナー後、名刺交換のために長い列ができたのは、今回が初めてのことでした。中には、写真専門学校の先生やカメラメーカーの開発者の方もいて驚きました。そして最も印象に残ったのは「新規事業として会社で写真を始めることになり、まったく異なる職種から、カメラを手にせざるを得なくなった」という、ある女性との出会いです。


フォトグラファーという仕事は、撮影のその瞬間ごとに“決断”を迫られる孤独な仕事です。それを、会社の“辞令”という紙一枚で突然任されるのですから、どれだけ大変なことか……。心中お察しするところを伝えた瞬間、大粒の涙が滝のように頬を伝い、私も思わず目が潤んでしまいました。



フォトグラファーになるきっかけは、人それぞれです。好きで始めた人、興味を持って飛び込んだ人、家業として継がなければならなかった人、そして今回のように“やらざるを得なかった”人……。

写真がデジタルになり、プロのハードルが下がったのは、果たして本当に良いことだったのか。私には、まだ答えが出せません。ですが、人に“夢”を届ける仕事に携わる人たちが、自分自身は夢すら見られない状況にあるのだとしたら、それは決して健全な状態ではないと断言できます。

私が思い描くこの業界の未来。それは・・・もう一度、子どもたちにとって「夢の仕事」として、フォトグラファーの道を残すことです。




ところで・・・ ステージ上から客席に見えた、フォトグラファーの今道しげみさんを、サプライズで壇上にお招きしインタビューをしましたが、手にはなぜか用意されていた様な作品・・・。仕込み疑惑がささやかれております・・・😆





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