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フォトグラファーとは・・・


滅多に見ないInstagramですが、たまに開くと「Threads」が表示されることがあります。写真ばかりの中に文字が出てくると、思わず目を引かれ、つい読んでしまう──なかなか上手い戦略ですね。笑

ただし、内容には少し考えさせられるものもあります。先日見かけた投稿は「撮影費を3,000円に上げたら、全然依頼が来なくなった」と書かれていました。その3,000円というのも、1カットではなくスナップ1本分の料金のようです。

……ちょっと待ってください。仮に毎日撮影が入ったとしても、月収は90,000円。とても生活できる水準ではありません(^^ゞ) 最後まで読むと、どうやら本業は別にお持ちのアマチュアの方の様でした。


でも、アマチュアだから安い金額で撮影していいという訳ではありません。

こうした人たちに悪気はないのでしょう。むしろ、誰かの役に立てることに喜びを感じているに違いありません。ただ、その「喜び」の裏側には、その仕事に人生を懸けて、真剣に向き合っている人たちが存在することを忘れないで欲しいものです。



かつて私も、サラリーマンをしながら副業で写真を撮っていました。ですが、本業の方々に迷惑をかけてはいけないという思いから、価格はプロと同水準に設定していました。そして脱サラし独立してからは、料金を見直し、キャリアとともに少しずつ価格を上げていきました。

だって、考えてみてください。日本に一人しかいない「マスターフォトグラファー」が、駆け出しの若い人と同じ料金で仕事をしていたら、お客様はどちらを選ぶと思いますか?……想像できますよね。


私は、顧客サービスにおいて最も大切なことは「続けること」だと思っています。どれだけ素晴らしいサービスでも、継続できなければ意味がありません。誰かの犠牲の上に成り立つビジネスは、あってはならないのです。

フォトグラファーという職業は、飲食や美容のように免許が必要なわけではありません。誰でも今すぐ始めることができます。故に、近年では“バイト感覚”で始める人は増加の一途。



目先のお金にとらわれて料金を安くしたり、モニターを募集しても、そこに来るのはリピーターにはなり得ないお客ばかりです。彼らは、次にもっと安い人を探しに行くだけです。

先日Threadsで見かけた投稿では、「写真の出来が悪い」と怒っている人がいました。最後まで読むとモニター撮影だったことが解りました。「モニターということは理解しているけれど、酷すぎる。時間を返してほしい」とまで書いていました。そんなに大切な撮影なら、信頼のおける人に依頼するべきですよね?


私は「安過ぎるものにはウラがある」と思っているので、そうした案件には近づきません。たぶん、多くの人が同じような価値観を持っているのではないでしょうか? つまり、そうした人たちは、「良いお客様」にはなり得ないのです。



私たちフォトグラファーの本分は、「良い仕事をすること」に尽きると思います。そして、それを正しく知ってもらう努力をする──そういう存在であるべきです。

かつて、フランス人フォトグラファーのルイジ・ギッリは、こう語りました。

「写真家とは、外部世界についてイメージという見地に立ち、必要な応えを出すべく、経験、職業的専門性、豊かな文化的知識を携えて行動する者である」

アマチュアの人だけでは有りません。プロの中にもこうした本分をおろそかにして、マーケティングばかりに血眼になる人が居ます。少し哀しいことだと思います。どれだけ稼げたとしても、それは“自分のためだけに生きている”に過ぎないのです。

人生は“誰かのために生きる”からこそ輝くのだと、私は信じています。


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