フォトコン審査を終えて——審査員が見る決めてとは——
- photoartkojima
- 10月22日
- 読了時間: 4分
はじめに:14年目の審査日
昨日は、数えてみると14年間審査員を務めている四電ビジネスさんのフォトコン審査でした。昼食前に並べられた応募作品を少し拝見しただけで、胸が高鳴る良作が多く、期待が一気に高まりました。
昼のひとこま:38年ものの包丁が教えてくれたこと
同席したもう一人の審査員、広告部のGさんと食事をご一緒しながら、目の前で繰り広げられるシェフのナイフさばきに思わず質問しました。「そのナイフは、ご自身で研いでいらっしゃるのですよね?」シェフは快く話してくださり、それは38年ものとのこと。購入当時からすると、刃の長さは約2/3になっているそうです。師匠は彫刻刀のような長さのものを、本当に彫刻に使っているとか。——道を極めるには、まず道具。当たり前のことを、改めて教わりました。
まずは「きらめき賞」から
さて、美味しい食事のあとは、いよいよ審査です。
まずは、「きらめき賞」の対象者さんから拝見します。この賞は年齢層の高いコンテスト応募者に対し、若年層にも頑張って欲しいと設立した賞です。35歳までの方が対象です。作品の多くは、声を掛けさせさせて頂いた、高校の写真部の生徒さん。
何かに心が揺れ、シャッターを切ったハズですが、なかなかそれを他者に伝えるのは容易ではありません。
30歳前後の応募者の方の中にも、綺麗な写真の応募はありましたが、一見綺麗に見えますが、主題が何か伝える力が弱かったり、主題を邪魔する存在などがあったり。そんな訳で、技術的にはまだ未熟であっても、フレッシュな視点をもった、荒削りだけれども、悶々とした伝えたいことを前面にだしたものを選ばせて頂きました。
一般の部:悩ましいほど豊作でした
一次を通過した作品が大量で、どれも入賞させて差し上げたい——そんな状況でした。過去の審査では、入賞作を探す事に困った時もありました。それから考えるとレベルアップしたコンテストに感慨深いものがございます。 さて、コンテストは最終的に比較で決めざるを得ません。ここで、私が重視した決め手を少し共有します。
① オリジナリティ
過去に似た構図・表現の焼き直しになっていないか。傾向と対策のつもりで過去入賞作をなぞると、むしろ逆効果です。人を感動させる作品は、オリジナリティから生まれます。
② 仕上げ(プリント前提の完成度)
安易なトリミングになっていないか
ハイライト/シャドウのディテールは失われてないるか
ノイズ処理やピント精度は適正か
紙(プリント用紙)との相性は適切か
③ 展覧会全体のバランス
入賞作は四国四県を巡回します。来場者の目線に立てば、同じテーマ/テイストばかりは単調です。飲食店で同じ食材ばかりのコースが続けば退屈なのと同じです。**個々の優劣だけでなく“展示として”俯瞰した場所から全体を見てあげる必要性があります。「入賞と落選を単体比較すると、こっちの方が上手いのに……」と感じるケースがあるかもしれません。それは“木を見て森を水”かも知れません。
国内コンテストに多い「1人1賞」というルール
多くの国内コンテストは1人1賞が一般的です。賞品提供や受け取り側の感情(妬み・嫉み)への配慮など、運営上の健全性を守るための仕組みだと理解しています。この制約があるため、どれほど優れた作品でも同作者の別作品がさらに上であれば、良作でも落選となる場合があります。
一方、私が応募している海外のコンペでは、点数が規定を超えれば複数入選となる方式がです。時には“総ナメ”も起こり得ます。 国内は社会貢献・企業イメージ向上という側面が強く参加費無料が多いです。それに対し、海外は応募有料です。——制度設計の違いが結果の差を生みます。どちらも**目的に即した“正しさ”**があると感じます。
応募者の皆さまへ
写真を見れば、みなさんの情熱や写真への愛を感じます。 写真文化を支えるのはプロという一握りの人間ではありません。
皆さんのような、愛好家の方達の熱い情熱です。
私たちは、ほんのお手伝いをしているに過ぎません。
みなさん、本当にありがとうございます。
コンテストはその性質上、入選と落選に分かれてしまいます。
でも、先に書きました様に、いろんな事情があって決まります。結果に一喜一憂なさらず、今の写真ライフを楽しんでください。
「今日は昨日より、いい写真が撮れた!」そんな歓びの積み重ねこそが、人生の醍醐味だと思います。
人間としての成長ことが、人生を豊かにし、健全な社会を気付く基となります。
みなさま、どうぞ心身ともに健やかに。そして、また表彰式会場でお目にかかれますよう。












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