フォトグラファーにとって大切なこと
- 故島永幸

- 10月26日
- 読了時間: 2分
昨夜のジャッジ仕事で目にした作品が脳裏に深く印象を残して離れない。
それは写されている人物に限って言えば写実主義の絵画的であるけれど、全体的な雰囲気はバロック期の色調を思い起こす。
写る人物の姿勢や表情は気品を漂わせ、カメラを見つめる目が「何かを」訴えている。
日本の営業写真におけるポートレートとは大きく異なるのは、この「何か」。
カメラを見つめる目の力がちがう。ただ、笑顔だけのカメラ目線とは一線を画す。
久しぶりに、「いい」と思える作品を見た。今日は、無性にシャッターを切りたい。

この絵は、初期フランドル派 ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻の肖像」
当時、全身を描いた絵は珍しかったという。何を表現したものか。
シャンデリアに灯された1本のロウソク。椅子の背に掘られたマルガレーテ。凸面鏡の周りにに描かれた10のキリストの受難。ロザリオに、聖なる香油を撤布する聖刷毛、足元の犬
に、脱がれた草履。窓際の聖なる果実。
これらで、キリスト教による結婚を意味していることが読み取れる。
1枚の絵に、さまざまな仕掛けをして、見る人に、謎解きの様な楽しさを与えてくれる西洋美術。
フォトグラファーという表現者にとっても大切なことは、好奇心を失うことなく続けられることだと思う。











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