写真が繋ぐ、家族の絆
- 故島永幸
- 5月12日
- 読了時間: 2分
先日、撮影にお越しくださったご家族。結婚5周年の記念として、みなさんで来てくださいました。
実は5年前、おふたりの結婚写真を撮らせていただいたご縁がありました。新郎新婦は同級生で、ご主人は3人のお子さんを連れての再婚。
ところが、結婚してすぐにご主人に人事異動の辞令が下り、みんな一緒に北海道へ。2年して静岡に転勤が決まったとき、子どもの高校受験もあって、やむなく単身赴任となり、家族は香川に帰って来ることになりました。奥様は新米ママとして、3人のお子さんとともに家庭を守る日々が始まったのです。
そんなご家族との再会を、私はとても楽しみにしていました。当日、3人のお子さんはすっかり大きくなっていて、上のふたりの男の子はちょっと照れくさそうな様子。末っ子の女の子は、すっかり社交的な中学生になっていました。
先に着替えを済ませたお嬢さんは、「家族写真だけ撮る」と思っていたようで、実はパパとママがふたりだけで結婚5周年の記念撮影も予定していることを知らされていなかったのです。
それを知ったとき、「えー、ずるい〜!」と声を上げた彼女。私が何がずるいのか解らず、ポカンとしていると、「兄妹3人の写真も撮りたい〜!」と笑顔で言ってくれました。
ママが「パパに聞いてみたら?」と促すと、パパは「お兄ちゃんたちがいいって言えば、いいよ」と優しい返事。
妹にせがまれたお兄ちゃんたちは、「撮りたい、撮ろうよ〜」という勢いに押されて、照れながらもOK。
そんなやりとりを見ていて、私はとても心が温かくなりました。パパが単身赴任で離れて暮らしていても、家族の絆はしっかりと育まれていたのです。
撮影を終えたあと、ご家族のスマートフォンをお預かりして、私のカメラで撮った写真と同じ構図で撮って差し上げました。仕上がりまでの“つなぎ”として。
そのとき、ふとパパのスマホの待ち受け画面を見ると、なんと5年前に私が撮影した結婚写真が使われていました。
それを見たママが、「私も同じ写真を待ち受けにしています」と一言。

写真家冥利に尽きるとは、このことだと思いました。
もしかすると、あの1枚の写真が、家族の絆をつなぎ止めてくれていたのかもしれない。
時代に消費される写真ではなく、時を越えて、心に残る写真を撮ることの大切さを改めて感じた日となりました。
Comments