写真に真摯であること
- 故島永幸
- 4月30日
- 読了時間: 3分
私たち職業フォトグラファーは、写真を撮り、それを買っていただくことで生計を立てています。しかし近年、同業の多くが売り上げの減少に直面しており、私自身もその例外ではありません。
だれもが、知恵を絞り、あの手この手でなんとか売り上げを伸ばそうと努力しています。中には「地域限定!応援キャンペーン 費用無料❗」や「モニターキャンペーン 10カット撮影2,000円」といった、信じがたい価格でサービスを提供する人もいます。
「これをきっかけに、長いお付き合いに繋がれば…」と期待するのでしょう。しかし、現実はそう甘くありません。
安さは価値を壊す
一般常識を持つ人であれば、「あまりに安いものには裏がある」と警戒します。そして、安さだけを求める人は、そもそもその先にある価値には興味を持ちません。結果として、質の良いお客様は離れ、価格だけを見て集まる客層によって、クレームやトラブルが絶えない──そんな状況に陥ることもしばしばです。
もしそれで終われば「良い勉強だった」と言えるかもしれませんが、問題は、その価格に消費者が慣れてしまうこと。本来あるべき適正な価格では、写真が売れなくなってしまいます。業界全体が崩れていくのです。
今、内職カメラマンが増え、マッチングサイトで低価格の仕事が横行しています。もはや、業界は「崩れている」と言っても過言ではありません。
写真を愛した、あの日を思い出してほしい
フォトグラファーであれば、誰もが「写真が好き」という気持ちから、この仕事を選んだはずです。ところが今、多くの人がマーケティングや戦略ばかりに時間を割き、肝心の写真は後回しになってしまっているのではないでしょうか。
どうか、思い出してください。
カメラを手に、あちらこちらへ出かけていたあの頃を。自分の写真を「好きだ」と言ってくれた人のために、夢中でシャッターを切っていたあの頃を。表現者として、この道を歩むことを決めた、あの日のことを。
私たちは、登り続けるしかない
もちろん、「食べていかなければならない」という現実はあります。でも、安易な行動が業界を壊し、日本社会を変え、子どもたちの未来さえも損ねているかもしれないのです。
表現者であるということは、時にとても厳しい道です。それでも、私たちは歩みを止めず、登り続けなければなりません。その登った先にしか見えない景色を見るために。
写真と真摯に向き合った者だけが、その景色を見ることができるのです。
最後に私ごときからではありますが。
「写真で生きる」道を選んだあなたに、心からエールを送ります。
フォースと共にあらんことを。

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