写真業界はどこへ向かうのか——銀塩撤退の波と「再構築」への覚悟
- 故島永幸

- 10月24日
- 読了時間: 3分
35年の現場から届いた“現実”
昨日、およそ35年にわたりフォトグラファーや写真館を支援してきた方がお立ち寄りくださいました。長年の当事者だからこその言葉は、胸に刺さるものがありました。
銀塩撤退の本質:見え隠れする延命の終わり
富士フイルムがプロ向けの現像・プリント・アルバム事業から撤退する件の本質は、想像していた通りでした。周辺ラボの廃業や売上減が続くなかで、富士はむしろ事業を伸ばしていた——その裏にあったのは、取引先の先細りを前提にした“救済”と銀塩の延命。
国内での冷遇と海外評価:ガラパゴスの影
その方はこうも語りました。
「故島さんの海外での評価に対し、国内業界の冷遇は既得権益の保身であり、業界の発展を見ない態度だ。」
私のセミナーに足を運んでくださるのはキャリアの浅い方が大半です。業界を再構築するために最も聞いてほしい層には、なかなか届いていないのが現実です。国内の営業写真のコンテストも、海外のそれとは文脈が異質。ガラパゴス化を知りながら、見て見ぬふりで学びを拒む風土——彼の指摘は辛口でした。私へのリップサービスも有ったでしょうが、その事実にうなずかざるを得ませんでした。
価格破壊と“プロの資質”問題
最後に、彼はこう結びました。
「アマチュアと大差ない“プロの資質に欠ける”人の大量流入による価格破壊と衰退は止まらない。廃業が進むなか、一度リセットせざるを得ないかもしれない。」
その喩えは、氷河期に滅んだ恐竜のようでした。「ならば私はシーラカンスになるしかないのか?」——冗談めかして言いながらも、“姿を見せられない希少種”では仕事にならないという現実にシャレにもなりません。
10年後の銀塩:消失のカウントダウン?
彼は前置きで**「このままでは10年後、銀塩プリントは失われる」**とも語りました。延命が、いよいよ尽きる期限との見立てです。これは終焉の予告状でしょうか。座して待つわけにはいきません。私はずっと、未来の子どもたちのために、フォトグラファーを“夢の仕事”として残すことを行動原理の1つにしてきました。ここで足を止めるわけにはいきません。
希望
業界の行方は、私たちの選択で変えられます。もし、このブログを読んで**「何か行動しなければ」と感じた方**がいらっしゃれば、ぜひ声をかけてください。私は喜んで、働かせていただきます。「いっしょにやろう!」——その一言を、お待ちしています。

淋木図 (りんぼくず)2012/1/29撮影
滑降途中に出会った森林限界。
粉雪が静かに舞い落ちる音の無い世界。
孤独に佇む一本の木。
ふと思い出した彼の言葉。
「孤独に歩め。
悪をなさず、求めるところは少なく。
林の中の象の様に。」
仏陀
この言葉には前文があります。
「賢明な伴侶を得られるのなら共に歩め
賢明な人と歩めないのなら1人歩め
愚かなものを道連れとするな。」
随分と、1人歩いて来てしまった様に思えます・・・











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