藍染めと写真家、表現と技術
- photoartkojima
- 5月15日
- 読了時間: 3分
随分と前から「あれ、どこいったんだろ?」と思っていたものが、偶然出て来ました。
それは”藍染めのハンカチ”です。
私が、初めて藍染めを体験したときに作ったもので、かれこれ20年くらい前でしょうか?
こどもの行事に引率した時に、保護者もいっしょに体験させてくれました。
指導してくれた染め師の方が、模様の出し方についていろいろと教えてくれました。
・糸でしぼる
・ろうけつ
・写真フィルムのケース(ケースで挟んだ部分は白く抜ける)
などですが、フィルムケースは今どうしてるんでしょうね。知り合いのカメラ屋さんによるとフィルムの入荷は月に5本しか割り当てられないとか。
ちょっと、話がそれましたね。さて、その話を聞いて私はどう染めようか?と考えました。周りの人は先生の紹介してくれた手法をもとに作業しています。私は人と同じはイヤなので、できあがりを想像し、まずはハンカチを1cmくらいの幅にアコーディオンの蛇腹の様に畳みました。次に細長く畳んだハンカチを、幅2センチ程度の間隔で輪ゴムを使って縛りました。
染める際は、藍窯に浸けたあと外に出して空気に触れさせます。その酸化で色が定着するということで、蛇腹を広げては藍窯に浸けることを繰り返し(どれくらいの回数だったかは忘れました)最後に輪ゴムを取って、水洗すると最初は緑色だった染め色が碧くなっていきます。よく洗ったら、水を絞ってアイロンで乾燥させて出来上がり。

自分が想像したものとは違いましたが、個性のある1枚が完成しました。
焼き物では窯変という、作者も想像できない焼き上がりを受入れ、楽しむ人もいれば、全てをコントロールすることが職人技だと、窯変を嫌う人もいるみたいです。
藍染めも似た部分があると感じましたが、写真の世界ではどうでしょう?ファインダーを覗かず、シャッター速度をあえて遅くして、偶然撮れるものを作品とする人もいれば、ライティングを計算し、ねらったとおりの絵を作る人もいます。前者は作家が多く、後者の職人気質はコマーシャルや写真館など、プロの方が多いでしょうか?
私は撮影の目的や意図するものによって、それを使い分けています。要は手段より、何を伝えたいか?だと思うのです。技術は大切ですが、そっちばかりで肝心の伝えたい事が空っぽでは「仏作って魂入れず」になってしまいますものね。 こう書くと「技術は無くてもいい!なんて故島は言ってる!」という人が出てくるかもしれませんが、私はそんな事言ってませんので、ご勘弁ください。
むしろ技術が足りないプロは、尊敬しかねます。私が尊敬してやまない写真家(現代アーティスト)の杉本博司さんは「アートとは観念を物質化する技術」と言い、また歌舞伎役者の板東玉三郎さんは「型があるから、型破り。型がないのは型無し」、お二人とも基本となる技術を大切にしなさいということを仰っています。
狂言役者の野村万作さんは「何十年もやってるんだ。技術は身につけられる。技術は。」技術の先にあるものが難しいということを伝える言葉です。何事にも基礎となる技術があってこその、作品づくりという訳ですね。
で、このハンカチで私は何を表現したかといいますと。
そんなものまったく、ございません。(^^ゞ
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