デザインとアートの違い——「何のために創るのか」
- 故島永幸

- 11月12日
- 読了時間: 3分
もう随分と前の話になります。ある代理店主宰の打ち上げで、ベテランのデザイナーが新人にこう問いかけました。
「デザインとアートの違い、分かるか?」
答えに詰まる新人くんを見て、私は思わず口を挟みました。
「デザインはクライアントの目的を達成するためのもの。アートは作者の主張です。」
今振り返ると、少し端折りすぎていて、「アートってそれだけ?」と誤解させたかもしれません。ですが、その一言に、自分なりの答えが凝縮されていました。
30歳からの写真、40歳で独立して考えたこと
私は30歳で写真を始め、40歳でフォトグラファーとして独立しました。独立を意識し始めた37歳頃から、「アートとは何か」を真剣に考えるようになりました。
私は何の為に、これを創るのか?
転機になったのは、38歳の時に出会ったE.H.ゴンブリッチ著『美術の物語』です。それを通して、
アートはどのような目的から生まれ、
どんな時代背景・価値観の中で機能してきたのか
を学びました。その上で、「現代に生きる自分が、アートを作る意味は何か」を、自分なりに理解することができました。
なぜ「アートは難しい」と言われるのか
今、多くの人が「アートは難しい」と感じています。写真も同じように言われます。
その一因は、現代美術の在り方にあると私は思います。
作者自身が、
「なんとなく」
「こういう感じが好きだから」
と説明するだけのものまで「アート」と呼ばれてしまう状況があります。それらをアートと呼ぶ是非について、ここで断言するつもりはありません。ただ、言葉にされないまま「何でもアート」の空気が広がると、受け手はますます置いてきぼりになるという問題は確かに存在すると思います。
フォトグラファーへ伝えたいこと
この文章で一番伝えたい相手は、同じ表現の世界にいるフォトグラファーたちです。
ぜひ、自分に問いかけてほしいのです。
「何のために、それを創るのか?」
「自分にとってのアートとは何なのか?」
一度立ち止まり、自分と作品に真正面から向き合ってみてください。
その問いに対して、自分なりの明確な答えを持てるようになると、流行やSNSの評価に振り回されない軸が生まれるはずです。すると情報に流されず、自分の表現に信念を持つ強さが備わるでしょう。

古事記によれば、日本の成り立ちは二人の神の国生みによってなされた。 そしてそのうちの一人である、伊弉諾尊(いざなきのみこと)から産まれたのが天照大御神であり、現代も続く天皇の祖先と言われる。 この橿原には天照大御神の5世孫にあたる初代神武天皇が祀られている。 日本が最初に一つの国として建国されたのが、およそ2680年前のこの橿原の地である。 以来日本は、男系男子の系統を護り天皇を繋いできた世界最古の国。 私は、その橿原が、天照大御神の力である太陽の光で浮かび上がる光景を見たくなった。その時間、そこには神の気配を感じた。











コメント