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和装の末広と所作の秘密 ― 所作の美学とフォトグラファーの役割

更新日:2025年9月10日



和装撮影における「末広」と所作の美学

先日の「和傘とお引きずり」についての記事が多くの方に読まれたので、調子に乗って!続編を書きます。今回は、新郎新婦が手に持つ「扇」について。婚礼では縁起をかついで「末広(すえひろ)」と呼ぶので、以下末広で(本来は祝儀扇(しゅうぎせん)と呼びます)。


花嫁の末広の持ち方

花嫁さんを美しく写すためには、末広を持つ手の位置に注意が必要です。緊張すると自然と手が上がりすぎることがありますが、これは品を欠きます。

  • 左手 … 指を伸ばし、手のひらに末広の金色の側面を前に向けて乗せる。

  • 右手 … 指を細く揃えて伸ばし、末広の上に添える。このとき、手の甲がカメラに向くと大きく写り、手首も伸びてだらしなく見える。 👉 手の甲は花嫁の顔に向け、手首は反らせるようにすると気品が漂う。

さらに、両手が離れると美しく見えません。常に両手を揃えることを忘れずに。


悪い例:右手の甲がカメラを向き手が大きく見えます。手首も内に折れてだらしない。
悪い例:右手の甲がカメラを向き手が大きく見えます。手首も内に折れてだらしない。
良い例:右手の甲が上を向き、手首が反った状態。気品漂う所作です。
良い例:右手の甲が上を向き、手首が反った状態。気品漂う所作です。


新郎の末広の持ち方

新郎はつい末広を強く握りしめてしまうことがよくあります。しかしそれは肩にまで力が入り、緊張感が増幅し表情にも影響がでてしまいます。

また、末広は刀を表すとも言われており、先を立てる形は切っ先がお嫁さんに向かうことになってしまいます。斜め45度に下げて持ち、小指から握って親指と人差し指で軽く挟むようにすると、堂々とした印象になります。この形だと末広の先が羽織の裾に沿い、バランス良くスマートに見えます。


悪い例:力が入り過ぎて末広が上に向いています。
悪い例:力が入り過ぎて末広が上に向いています。
良い例:リラックスしていながら、どっしりとした構えは落ち着いて見えます
良い例:リラックスしていながら、どっしりとした構えは落ち着いて見えます

新郎の左手 ―「鍵手」という所作

左手は軽く握ったあと、人差し指を鍵状にして親指をその中に添える「鍵手」が理想です。能や狂言にも通じる伝統的な所作で、拳を握るよりも見た目に品格が備わります。

あるいは親指を中に隠す握り方もあります。これは末広同様に「親指の先が刀の切っ先を表す」とも言われることから、それを隠す形。ちなみに、今上陛下が皇太子殿下だった頃、ご成婚の際にこの形をされていたことも確認しています。私はお客様には両方をご紹介し、選んでいただくようにしています。


能狂言のシテが見せる「鍵手」
能狂言のシテが見せる「鍵手」


天皇陛下がなさっていた親指を握り混むスタイル
天皇陛下がなさっていた親指を握り混むスタイル


所作全体の美しさ

足を大きく広げると、まるでガンダムのようになってしまいます。スタンスは肩幅程度にとどめ、全体の調和を意識することが大切です。

日本文化は、茶道や能のように、一つひとつの動作に意味と美意識が込められています。和装撮影においても、所作が整うとその人自身が引き立ち、写真に気品が漂います。フォトグラファーの使命は「お客様を美しく撮ること」。そのための所作のご案内も欠かせないのです。




型を知ってこそ出来る型破り

歌舞伎俳優・坂東玉三郎がこう言いました。

「カタがあるから型破り。カタが無いのは型無し。」

若いフォトグラファーの皆さんには、まず型を学んでほしいと思います。

ただし、所作やポージングだけでは作品は完成しません。

写真は光の芸術です。ライティングそれから、構図、表情も決してお忘れなく。(^^)


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