クラシック・ディビジョン1位
- 故島永幸
- 7月23日
- 読了時間: 2分
クラシック・ウエディング(合成不可)部門と、クラシック・ポートレート(合成不可)部門でそれぞれ1位をいただき、さらにポートレート作品は、クラシックディビジョン全体の総合1位という栄誉にまで選ばれました。

その作品は、画家ファン・ゴッホが37歳という若さで命を絶ったとされる史実をテーマとしたものです。「人の役に立ちたい」という彼の強い思いは、時として他者にとって“お節介”と捉えられ、彼を孤独に追い込みました。現代で言うならば、「発達特性」を抱えていたのかもしれません。人との距離感をうまく保つことができず、誤解され、孤立していったのです。

私自身、かつて似たような孤独を味わった経験があるからこそ、ゴッホの作品を見ると胸が締めつけられるような、深い切なさを覚えます。
この作品は、そんなゴッホへのオマージュとして制作しました。
孤独がもたらす悲劇としての死。そして、その孤独を生む人々の偏見や冷たさ、社会という名の壁の恐ろしさ。それらを、写真という表現を通じて伝えようと試みたのです。
審査では、最高得点をつけてくださったジャッジが**チャレンジ(※再評価申請)を行い、私が作品に込めたメッセージを汲み取って、情熱的に語ってくださいました。その姿に、私は心から感動しました。
こんなに嬉しいことはありません。

この作品は過去にも、数々のコンペで高い評価をいただいてきました。しかし、作品の意図をここまで深く理解してもらい、しかも総合1位という最高の評価までいただけたことは、今回が初めてです。
私はコンペに作品を出すとき、大きく分けて2つのタイプを用意します。
1つは、誰にでも伝わりやすく、評価を得やすい作品。もう1つは、読み解くのは難しいけれど、もし審査員の中に1人でも「理解できる人」がいれば、極めて高い評価に繋がる作品です。
今回のゴッホを題材とした作品は、明らかに後者です。もし、ジャッジの中にゴッホが拳銃自殺したという背景、そしてその真相を知っている人がいなければ──この作品は、ただの「名画の模倣」で終わっていたかもしれません。
だからこそ、この結果には深い意味があるのです。写真という表現において、「伝える」だけでなく「読み取ってもらえること」の奇跡を、私は今回、心から実感しました。
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