ノブレス・オブリージュ
- 故島永幸

- 2025年8月22日
- 読了時間: 3分
私は撮影時、その対象が人であれ物であれ、内面を表現することを常に意識します。
人であれば、その人となりを理解し、その人らしさを引き出すよう努めます。
物であれば、その作り手の想いや強みを伺います。
そのためには、どんな光が必要か、どんな演出が合うのか──そのための脚本を頭の中に描きます。
そして、その人らしさを表現したあと、その人自身がまだ気づいていない美しさを撮影し提案します。
物も基本的には同じです。
もしかすると、私がやっていることはアートディレクターの領域に踏み込んでいるのかもしれません。でも、フォトグラファーとは本来そういう存在ではないでしょうか。
ありきたりや人と同じことを好まず、ただ言われたことをやるだけでは満足できないからこそ、この仕事を選んだ──そういう人が多い気がします。
もちろん、全員がそうとは限りません。
今年のPhotonextで、全進堂さんのブースにてミニセミナーを行ったときのこと。終了後、何人かの方が名刺交換に来てくださいました。そのうちのお一人、女性の方が話しているうちにポロポロと涙をこぼされたのです。
聞けば、もともとは衣装店で衣装担当をされていた方でしたが、会社の事業拡張で写真部門ができ、人事異動で撮影担当にならざるを得なかったとのこと。
その話を聞いて、私は思わず同情してしまいました。
私は写真が好きでフォトグラファーになりました。
だから、自分の息子たち(3人)が興味を示さなかったこともあり、後を継がせようとは一度も思いませんでした。
好きでやっていても大変な仕事です。ましてや、好きでもない人に強要すれば、本人もお客様も幸せにはなれないと考えたからです。
フォトグラファーという職業は、いざ撮影となれば孤独です。
シャッターを切るタイミング、その瞬間の構図や露出──すべてはフォトグラファーの責任において決まります。
私自身、納得のいく撮影ができたと感じたことは一度もありません。
苛酷で、時に心を削る仕事です。
だからこそ、この道を選んだ人には心から敬意を払い、応援せずにはいられません。
願わくば、あの女性が今の仕事でお客様から喜ばれ、それがご自身の喜びにもなるようなフォトグラファーになってほしい・・・。
「ノブレス・オブリージュ」──私は、そんな大げさな言葉を使えるほど立派な人間ではありません。
しかし、私が得てきたものは、日本の中では稀少な経験や視点だと思います。
それを活かせれば、業界も、お客様も幸せになれる。
そう信じて、今日も写真と向き合っています。にしています。
あっ!そういえば今日は、帰省中の長男の車のヘッドライトを一緒に研磨する約束だったことを思い出した! (^^ゞ












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