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和装撮影の足さばき ―草履の立ち姿と歩き方が気品を生む




草履の不自由さに宿る美 ― 侘び寂びと和装撮影

和装撮影の指南、3回目です。 現代の日本人にとって、草履(ぞうり)は歩きにくい履物です。指の股が痛くなったり、足が疲れやすいと感じる方も少なくありません。しかし、その「不自由さ」こそが日本文化の美意識 ― 侘び寂び(わびさび) ― に通じています。




侘び寂びとは?

ところで、「侘び寂び」という言葉はよく耳にしますが、正しく理解されているとは言い難いと思います。 起源は千利休の茶の湯にあります。高価な唐物(中国製の高級茶器)を使うのではなく、瓦職人の長次郎に、素朴で手に馴染む茶碗を焼かせ、それを美としたのです。(もっともその楽茶碗も高価なものとなってしまいましたが)


たとえば、大企業の社長が友人をランチに誘い、立派な料亭ではなく、あえて昔ながらのラーメン屋に連れて行き「これ旨いだろ!」と言うような感覚。豪華さではなく、質素で素朴なものの中に価値を見出す ― これが侘び寂びの心なのです。


足元に宿る美

話を戻しますね。和装撮影では、この草履を履いた足の形ひとつで、着物や着付け、ヘアメイクまでもが台無しになることがあります。だからこそ、フォトグラファーは足元の所作を大切にしなければなりません。


  • 基本の立ち方 - 両足を揃えた状態から「ハの字」に開き、カメラに近い足をやや後ろへ。重心は前に出した足にかけ、後ろの足は膝を寄せて踵を少し浮かせる。すると裾が富士の裾野のように広がり、美しいシルエットになります。

  • 歩くシーン - ロケでは歩く姿も撮影します。このときは「両膝を軽くヒモで縛ったように」内股のまま、ゆっくり粘りを持たせて歩くと気品が生まれます。これは歌舞伎の女形から学んだ所作です。


    裾を富士の裾野の様に末広がりに見せるから?ここを裾山といいます。
    裾を富士の裾野の様に末広がりに見せるから?ここを裾山といいます。


フォトグラファーの役割

まずはフォトグラファー自身が、この立ち方や歩き方を体得する必要があります。お客様に実演して見せられなければ、美しい和装撮影は叶いません。

草履の「不自由さ」にこそ、侘び寂びの美がある。その精神を理解して撮影すれば、写真は静的な記録ではなく、生きた表現になります。

結びに

草履の所作は、単に立ち方や歩き方の問題ではなく、日本文化に根差した美意識の表れです。フォトグラファーとして、その背景を理解し、お客様を美しく導くことこそが、私たちの誇りでありプライドだと思います。


さて今日はお昼、ラーメンにでもしようかな?w

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