top of page

盗作騒動が照らした「出自」——コンテンツ認証情報で写真文化を守る





いま突きつけられている問い

先日の盗作問題は、実は生成AIのフリー素材だったという“オチ”まで明らかになりました。ここで浮かび上がった本質はただ一つ——私たちが提供、または応募する写真は、ほんとうにカメラで撮られたものかという確認です。

多くの海外コンペでは生成AIの使用を禁止し、RAW提出を求めています。しかし、そこには抜け穴もありました。過去には「ドローン撮影だからRAWがない」と説明しJpegだけを提出。しかし、合成禁止カテゴリーへ合成作品を出していたという例です。



Content Credentials(コンテンツ認証情報)とは

コンテンツ認証情報は、作品の来歴(作成/編集の痕跡)をメタデータとして画像に付与し、誰でも検証サイトで確認できるようにする仕組みです。Photoshopで書き出す際に有効化しておくと、例えば下記のような情報が記録されます。

  • 作成/編集アプリとバージョン

  • 合成の有無、調整レイヤーやツールの使用

  • 生成AI機能(外部モデルを含む)を使用したかどうか

  • 画像の書き出し履歴(いつ/どんな形式で)

    ※ LightroomではJpegで保存時のみ、このオプションが利用可能です。


Content Credentialsの検証サイト画面
Content Credentialsの検証サイト画面

実際に、私のトロフィー写真に加工してみました。背景の国旗を作る際に外部生成モデル(Gemini 2.5 “Nano Banana”)を使って作った画像や、途中で合成・「調和」などの処理をして、結局削除したものまで検証画面に履歴として表示されました。※現状、すべての操作が完全に記録されるわけではありません。参加ベンダーや対応機能は拡張の途中段階です。 ※ 検証サイトhttps://contentcredentials.org/adopt/#





Photoshopの書き出し形式画面
Photoshopの書き出し形式画面

Photoshop での付与(概要)

  1. 設定をオンPhotoshopの環境設定もしくは「生成AIとコンテンツ認証情報」にある[Content Credentials(Beta)]をオンにします。

  2. 書き出し時に埋め込む〈書き出し〉ダイアログで[Content Credentialsクラウドへの公開]をチェックして出力します。([ファイルに添付]を選ぶとファイルサイズが大きくなります)

  3. 検証する画像を公開の検証サイトにアップロードすると、付与された履歴が閲覧できます。 注意:現在まだBeta版です。理由はわかりませんが、保存が出来ないことがありました。Psを再起動すると保存ができました。


これから

この仕組みは、Adobeが主導し、メディア企業やカメラメーカーが賛同して策定が進んでいます。将来的にはカメラ側で撮影時の署名が付与され、アプリ側の編集も自動的に履歴化されるのでしょう。ただし、いまは参加企業・対応範囲が限定的で、完成形にはもう少し時間がかかります。とはいえ、AI時代の時間軸はいままでのそれとは桁違いです。未参加の事業者にも、早期の参加と実装を期待するところです。





コメント


bottom of page