テニスはいつの間にかチーム戦に?
- 故島永幸

- 9月30日
- 読了時間: 3分
両手打ちのバックハンドと、低い姿勢から繰り出すグラウンドストロークが印象的だった、グランドスラム8勝の元世界王者 ジミー・コナーズ。そんな彼が、最近のテニスの変化について物申しています。
コーチング解禁というルール改正
発端は、**2023年からグランドスラムでも正式に導入された「試合中のコーチング解禁」**です。これまでテニスは「孤独なスポーツ」とも言われ、試合中にコーチからの助言や指示は一切禁止されてきました。
男子のグランドスラムではフルセットになれば5時間近くに及ぶ試合もあります。体力的にも精神的にも極限の状態。その孤独な戦いを制した選手こそが、本当のチャンピオンでした。
私自身の経験とテニスの魅力
私も30代半ばまでは大会に出場していたので、その孤独感はよくわかります。
試合の序盤、相手の調子が良く、何をやってもポイントを奪われる。特に自分のサービスゲームをブレイクされた時の動揺は計り知れません。
それでも心の中で自分に言い聞かせます。「大丈夫。あんな調子が続くはずがない。きっと流れはこっちに来る」
リズムを変え、強打からコース重視へ切り替えたり、相手を揺さぶります。すると不思議と相手の調子が崩れてくる。流れをつかみ、逆転勝ち――。
写真も撮影となれば、全ての決断は一人で行わなければなりません。表現の仕方、露出に構図、誰からも助言は貰えません。もちろん、プロとアマチュアを比べるのは無理がありますが、こうした駆け引きや精神的な戦いが、いまの私の写真活動にも活かされているように思います。
コナーズの言葉と懸念
しかし、そんなテニスが「チーム戦」に近づいていると知り、正直驚きました。コナーズはこう語っています。
「コーチングが個人競技であるはずのテニスを団体競技にしてしまった。選手たちは試合中、すぐに助けを求めるようにボックス席を見上げている。もし私が現役時代にそんなことをしたら、『自分の問題は自分で解決しろ』と祖母や家族に叱られただろうね」
確かに、試合中の流れからは選手の精神状態が手に取るように伝わるものです。その醍醐味が失われてしまうのだとすれば、とても残念です。

これからのテニスは?
現役選手の中にも、このルール改正に異を唱える人は少なくありません。もちろん協会も無策ではなく、今後のアンケートや評判を見て再検討する可能性はあるでしょう。
しばらくは様子見。果たしてこのルールがテニスの面白さを広げるのか、それとも失わせてしまうのか。注目して見守りたいと思います。











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