白無垢の綿帽子と角隠し ― その歴史を追う
- 故島永幸

- 2025年9月14日
- 読了時間: 4分
和装シリーズ第4弾です。(関連記事は最後のリンクを) 和装の花嫁というと私は白無垢に、得も言われぬ何かを感じさせられます。 それは、切ない・・・胸がキュンとなるような・・・。 なぜ、ウエディングドレスには感じないものを白無垢では感じるのか? 同時に、白無垢の際に頭に付ける布「角隠し」という言葉の意味。 私はフォトグラファーとなった頃に、それら疑問を解きたくなりました。


AIに聞くと…
「角隠し」とは、文金高島田の上に白布をかぶせ、女性の嫉妬や怒りの象徴である“角”を隠すもの。「綿帽子」は白無垢と組み合わせて用いられ、可憐さや「夫以外には顔を見せない」という純真さを表すもの。どちらも白を基調とし、花嫁の心のあり方を象徴している。
おおむね、こうした答えが返ってきます。
なるほど、一般的な由来や意味としては分かりやすい説明です。
機能としてAIは語っていませんが、まずどちらも鬢付け油で結い上げた髪型を保護するための意味でした。花嫁道中では土埃が舞う。汚れから髪を守るための布でありました。また防寒の目的で真綿で作られていたことが綿帽子という名前の由来になったという説もあります。町の女性たちは角隠しよりも小さな布をかぶり、オシャレの一部として楽しんでいたようでもあります。ここにまず「機能や文化的な意味」があります。

私の推論
ただし私は、もう少し違う視点から考えています。
私が本当に着目したのは「角隠し」という言葉そのものです。人間に角はない。しかも、花嫁が着る白無垢は「白装束」つまり「死に装束」です。なぜ結婚の晴れの場に死のイメージを重ねたのか?
歴史をたどると、平安時代に始まり、室町時代に定着したとされます。当時の婚礼は三日間にわたって行われ、白無垢で二日を過ごし、家の人間と認められた三日目に色打掛へと着替えたと言われます。
この当時に3日間も婚礼ができるなんて、余程の金持ち。つまり貴族に違いありません。
その結婚の多くは政略結婚です。時には敵対する家へ娘を嫁がせることもありました。家を守る為とはいえ、その時の親の心境はどうだったでしょうか・・・。
本当は嫁に出したくないという気持ちに、区切りをつけるため「娘は死んだもの」と自らに言い聞かせ、死に装束である白を着せたのではないか?そう私は考えました。
そして人は死ぬと鬼になる。「鬼籍に入る」とは、地獄の番人、閻魔大王の持つ台帳に名前が記されることを意味します。そうして鬼になるからこそ、「角を隠す」必要性が生まれた。ここに「角隠し」という名前が付けられた・・・。
こう考えると点と点が結びつき、白無垢と角隠しの由来に一定の意味として理解出来ます。
もしこれらが、真実でそれが文化として根付いたのであれば、私たち現代の日本人のDNAには、その感性が内包されているのかもしれないと、私には思えてなりません。そうでなければ白無垢だけが切なく感じることが説明つかないのです。
この話を美容師先生方にお話しすると、みなさん口を揃えて「そうとしか思えない」と仰ってくださいます。
結びに
これは学術的に立証されたものではなく、あくまで私自身の推論です。
しかし、こうして文化や言葉の裏に隠された意味を探ることは、フォトグラファーとしての表現を豊かにしてくれます。
花嫁の姿に込められた祈りとも、覚悟とも言える文化を理解すること。その上で写真を撮ることが、私たちの責務だと思います。
もっとも、わが家では妻の頭に角が生えることが無いよう、細心の注意を払って日々生活しておりますが、年に数回は角隠しが必要となることが・・・(^^ゞ











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