2019年以来の壇上。ダブルマスター授与と、拭いきれないクリエイターの矜持。
- 故島永幸

- 3月11日
- 読了時間: 3分
北アメリカ最大級のフォトグラファーへのイベント、WPPIのレポート3日目の後半戦は。 いよいよ、今大会のメインイベントであるIcon Awardsの表彰式の模様をお届けします。
今回のコンペティション、私は5つの作品が4つのカテゴリーでファイナリスト(Top10)に残っていました。ライブジャッジでの感触は決して悪くありません。
しかし、主催がIconに移譲されてからは「ファイナリスト作品の良さを称える」というポジティブな講評スタイルが主流。そのため、手応えだけで順位を予想するのは非常に困難です。それでも、自負はありました。「ストーリーテリングと訴えかける力」において、私の作品は決して引けを取らないと。
華やかな幕開け、そして壇上へ
表彰式は、プロのタップダンサーによる圧巻のパフォーマンスで幕を開けました。黒人ダンサー二人の息の合ったステップ、引き締まった肉体から生み出されるリズム。その圧倒的な熱量に、会場のボルテージは一気に高まります。
式典は、新たな称号の授与式から始まりました。
まずAssociates(アソシエイツ)の人達の名前が読み上げられ、次にMaster(マスター)が壇上に読み上げられます。そしていよいよ私の番、Double Master(ダブルマスター)の名前が呼ばれました。「ダブルマスター」としての登壇です。 2019年に1位を受賞して以来の、あの壇上の景色です。2021年にも1位を頂きましたが、当時はコロナ禍で渡航が叶わず、画面越しに眺めることしかできませんでした。数年越しに踏みしめるステージの感触に、こみ上げる喜びを噛み締めました。

3位入賞。その結果をどう捉えるか
グランドマスターの表彰が終わり、いよいよ各カテゴリーの優勝発表へ。 自分自身もジャッジを務める身として、客観的に分析しても「3作品はTop3に入るチャンスがある」と踏んでいました。
心拍数が上がるなか発表された結果は——。 クリエイティブ・ディヴィジョン:プレウエディング・クリエイティブ 第3位。
正直に申し上げます。私にとっては、不本意な結果でした。 私が目指していたのはカテゴリー1位、そしてその先の頂点である「グランド・アワード」だったからです。
しかし、表現の世界ではこうしたことは珍しくありません。作品に込めた深いメッセージや微細なストーリーが、すべてのジャッジに読み解かれるとは限らないからです。

むしろ、ごく一部のジャッジにだけ深く突き刺さり、熱狂的な評価を得る。
私はそんな作品を狙って作っています。だからこそ、読み解かれなかった時のリスクは承知の上。それもまた、このコンペティションの醍醐味であり、難しさでもあります。
「メダルの有無は、価値を左右しない」
ライブジャッジの際、チェアマンのTony Hewitt(トニー・ヒューイット)が語った言葉が心に残っています。
「先日開催された冬季オリンピック。メダルに届かなくとも、出場した全員が『オリンピアン』として称賛される。ここにファイナリストとして残った皆さんも同じだ。この場にいること自体が賞賛に値する。そこにメダルの色は関係ないのだ」
その言葉に背中を押されつつも、私の心はすでに「次」を向いています。
1位を獲れなかったからこそ、これまで以上に強いモチベーションが湧き上がっているのを感じます。満足してしまえば、そこで成長は止まる。この悔しさは、次のクリエイティビティへの最高の燃料です。
来年、もっと面白く、もっと深く、もっと衝撃を与える作品を携えて、再びあの場所へ戻ります。



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