これは写真ですか? 絵ですか?
- 故島永幸
- 8月11日
- 読了時間: 3分
私の写真を見た方がよく口にされるのが、「これは写真ですか?」「絵ですか?」という言葉です。無理もありません。多くの人が「写真」と思っているものと比べると、私の作品はたしかに絵のように見えるのかもしれません。
その問いに対して私は、こう答えるようにしています。「アートです」と。笑

決してふざけているわけではありませんし、煙に巻こうとしているのでもありません。たしかに私はカメラで撮影していますから、写真と言えます。
でも、見た目が絵のように感じられるなら、それは絵でもあると言えるでしょう。
ただ、私にとってカメラは「手段」であり、プリントが「結果」、そして目的は「アート」なのです。
観た人に,伝えたい事があったり、何かを感じていただきたい。そう願ってつくっている作品なのです。
とはいえ、長年写真を趣味や職業として続けてこられた方ほど、この表現方法に拒否感を示されることも少なくありません。そこで今日は、なぜ私は作品を“絵のよう”に作るのか、その理由を丁寧にご説明したいと思います。
カメラが発明された19世紀、ほぼ同時期に登場した二人の発明家は、どちらも「上手に絵を描く機械を作ろう」と考えていました。つまり、写真(カメラ)はもともと絵画の延長線上にあるものとして誕生したのです。
西洋で生まれた写真は、絵と同じように「picture」と呼ばれます。そのため、評価の基準も基本、絵画と同じ価値観に基づいています。ちなみに「photograph」はギリシャ語で「光画」という意味です。
では、絵画的とは具体的にどういうことか。それは、ハイライトからシャドウまでディテールをしっかりと残すことです。日本では白飛びや黒潰れを起こしていても、それが作品としてコンテストに入選している例を多く見かけます。しかし海外では、そういった作品が入選することはまずありません。
つまり、私の作品が「絵のように見える」のは、世界の評価基準に合わせて進化した結果とも言えますし、逆に、写真本来の成り立ちに立ち返ったとも言えるのかもしれません。
このように世界との違いを知ってしまうと、いろいろと思うことがあります。
写真をビジネスにすることが非常に厳しい現代社会
写真作品が「作品」として買われにくい日本の文化
フォトグラファーの社会的な立ち位置や評価の低さ
これらの問題はどこに有るのでしょうか?
どれも、フォトグラファー自身に有るように思えてなりません。
お客様に教えて差し上げるのも私たちの役割のハズです。
まず、自分達が世界を知り、己を知る。
そこで初めて、成すべき事を理解出来ると思います。
年齢関係ありません。
みなさん、ぜひ世界に踏み出してください。
もし私でよければ、いくらでもサポートさせていただきます。
それは、誰のためでもありません。未来の日本における写真文化を、もっと豊かにするための一歩なのです。
ちょうど写真のワールドカップ、WPC(World Photographic Cup)の募集が昨日オープンしました。
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