ライバルスタジオは「倒す相手」か「市場を育てる仲間」か ー写真業界を外から見て気づいたことー
- photoartkojima
- 2 日前
- 読了時間: 4分
バイオガイア・ジャパンCEOの野村慶太郎さんが、こんなことを書いていました。
「経営者が大河ドラマに影響されすぎると、経営が戦争になる。顧客を"攻略"し、競合を"撃破"しようとする。しかし経営は破壊の技術ではなく、継続の技術だ」と。
読んでいて、まさにこれだ!
これは、写真業界の話であると思いました。
「隣のスタジオを潰せばうちが生き残れる」という幻想
フォトグラファーとしてこの仕事に携わって約20年。 国際コンペの審査員として、日本だけでなく世界の写真業界の現場にも触れてきました。
そこで感じるのは、日本の写真スタジオや個人フォトグラファーの間に、ある種の「陣取り合戦」意識が見え隠れすることです。
価格競争で差をつける。 SNSのフォロワー数で格をつける。 「あのスタジオがああだから、うちはこうすれば勝てる」。
言葉では言わなくても、商売の発想がどこか「戦国武将」になっていないでしょうか。
しかし、そこで考えて欲しいことがあります。
隣のスタジオが潰れたとして、そのお客さんが自動的にあなたのところへ来るでしょうか?
たぶん、答えはNOです。 「写真に価値を感じる文化」そのものがなければ、顧客はスタジオを乗り換えるのではなく、写真を撮ること自体をやめてしまうのです。
スマートフォンがその受け皿になります。 AI生成の画像がその代わりになります。 「プロに頼む必要ある?」という問いが、業界全体を覆い始めています。
競合を潰している場合ではありません。 むしろ、顧客が「写真に価値を感じる土壌」を一緒に耕さなければ、パイ自体が消えていってしまいます。
「市場を奪う」から「市場を育てる」へ
ここ数年、国内外の写真コンペや業界イベントを通じて、あることに気づいてきました。
写真文化が元気な地域や国には、共通する空気があります。
それは、フォトグラファーたちが「仲間」として動いているということです。
競合スタジオのオーナーが勉強会を開く。 同じジャンルの写真家が、互いの作品を国際コンペに送り合い、励まし合う。 写真の価値を広めるために、まったく違う業態のスタジオが手を組む。
一方で、「市場を奪え」という発想が根強い現場では、情報が隠され、ノウハウが共有されず、結果的に業界全体の底が下がっていきます。
個々のスタジオが消耗戦を繰り広げている間に、顧客は「写真」から離れていくのです。
「Photography Renaissance(フォト・ルネサンス)」という考え方を提唱したい
こうした問題意識から、私はいま「Photography Renaissance(フォト・ルネサンス)」という考え方を提唱していこうと思っています。
ルネサンスとは、敵を倒して勝ち残る運動ではありませんでした。 眠っていた文化と価値を「再生・復活」させる運動でした。
写真業界にも、同じことが必要だと感じています。
スタジオ同士が消耗戦をしている場合ではなく、「写真プリントには価値がある」「プロのフォトグラファーに撮ってもらう体験は特別だ」という文化そのものを、業界全体で育て直したいです。 そのムーブメントを、これから少しずつ形にしていきたいと、いろんな働きかけをしています。写真プリントに価値を感じる人が増えれば、業界全体が潤います。 「プロに頼む理由」が明確になれば、スタジオ同士が競うより先に、顧客が戻ってきます。
そのために必要なのは、隣のスタジオを「倒す相手」と見ることではなく、「この文化を一緒に支える存在」として見る視点の転換だと思っています。
月曜の朝に見るべきものは、競合の動向ではない
野村さんの言葉を借りれば、「天下布武より、月末入金」。
写真業界に置き換えるなら——
競合監視より、目の前のお客さんの笑顔。 価格競争より、作品の質と信頼。 陣取り合戦より、市場そのものを育てること。
自分のスタジオの繁栄を願うなら、まず写真文化が生きている町をつくることです。
ライバルスタジオが廃業して喜ぶより、そのスタジオが元気でいてくれるほうが、業界全体として健全だということを、もっと多くの経営者に感じてほしいと思っています。
私自身も、まだ途中です。 でも少なくとも、「競合を倒して生き残る」という発想からは、もう自由になれたと思っています。
あなたはいかがでしょうか?
「競争より共創」 まずは、徳島で8月26日(水)に業界の垣根を越えた勉強会「徳島写真業界活性化カンファレンス」を開催します。全国でも同様の波紋が広がることを願ってやみません。もし、一目見てみたいと思われる方がいらっしゃいましたら、どうぞお越し下さい。参加費は無料です。田舎なので、ホテルの予約はお早めに(^_^)




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